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時:2012年3月11日(日)13時−17時 |
場所:京都大学物理工学校舎216室 |
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下記の講演および活発な討論がなされた. |
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1.「日本経済と社会保障の縮小」 宇仁宏幸 |
20世紀の100年間で約3倍に膨れ上がった日本の総人口は,21世紀の100年間で約3分の1に縮小すると推計されている.先進国のこれまでの経済成長に関しては,就業者数増加の寄与よりも,労働生産性増加の寄与の方が格段に大きいので,人口縮小が就業者数の減少をもたらす場合でも,GDPは必ずしも縮小するわけではない.しかし,現在の日本経済は,人口縮小の影響がGDP縮小につながりやすいという制度的特徴をもっている.労働や教育に関する現行の制度が改革されない場合,経済的生活水準の低下,増加する高齢者の生活の支えである公的年金制度の破綻など,かなり悲惨な状況が予想される.このシナリオを含め,4つの典型的なシナリオにおける2060年の日本の経済および公的年金財政を試算する.詳細は4月末に発刊される『縮小社会への道』(日刊工業新聞社)に掲載予定. |
2.「縮小社会の技術」 佐藤国仁 |
縮小社会の技術は,現在の技術が継続するものと,新たに生み出されるものがあると考えるべきである.社会の物質的基盤を作るものが技術であるとすれば,縮小社会の技術の多くは,現在の技術が継続されると考えられる.この面では,技術はさらにその生産性を上げ,効率化される.一方,縮小社会を「生産は必要な限りに留め,一方で人の活動はますます盛んにする社会」であると見なせば,技術は生産者の視点でなく生活者の視点から再構築されなければならない.ここから新たな技術が生み出されることになるであろう.詳細は4月末に発刊される『縮小社会への道』(日刊工業新聞社)に掲載予定. |
3.「藻バイオマスによる脱原発と温暖化対策の可能性」 橋本正明 |
『あれ』から1年が経過しようとしている,近代文明の肥大する欲望が生み出した制御しきれないエネルギーを利用する巨大な湯沸し器による人災である.それは避けえたはずの多くの悲劇を招いてしまった.にも関わらず今尚それは経済,雇用,更には地球温暖化の問題を理由に再稼動しようと画策を続けている.ここに私は脱原発と産業・雇用の創出,温暖化対策を満足しうる解である『藻バイオマス』による地域資源循環社会の構築を提案したい.詳細は資料10-1として掲載. |
4.「医療医療技術開発におけるリスクコミュニケーションの現状」 富田直秀 |
増大し続ける医療負担の根本には,リスクを避けようとする各個人の健康観や生命をめぐる価値観が深く関わっている.医療技術開発の具体例を提示して,異なる価値観を有する人同士がコミュニケーションを行う場の設計(リスクコミュニケーション)が医療現場のみならず,医療技術開発にも必要とされている現実をご紹介したい.詳細は資料10-2として掲載. |
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松久寛 〒606-8501 京都市左京区吉田本町 京都大学工学研究科機械理工学専攻 Tel & Fax : 075-753-5225 E-mail : matsuhisa(at)me.kyoto-u.ac.jp 縮小社会研究会のHP: http://vibration.jp/shrink/ (本HP) |